SDGsの注目度が高くなってきた昨今ですが、同時に「SDGsウォッシュに気をつけろ」なんて言葉も聞かれるようになりました。
そこでこの記事では、「SDGsウォッシュってなに?」「気をつけるってどういうこと?」と感じている人のために、以下の点をわかりやすく解説しようと思います。
- SDGsウォッシュの意味、定義
- SDGsウォッシュの事例
- SDGsウォッシュにならないための対策
SDGsウォッシュとは
SDGsウォッシュとは『見せかけのSDGs』という意味です。
つまり、SDGsに取り組んでいるように見せかけて実態が伴っていない状態を指します。
最近はSDGsの取り組みが、消費者に与える印象や、銀行の融資判断にもつながります。
そうすると「SDGsに取り組んでいません」とは言いづらい雰囲気があり、これがSDGsウォッシュが出てきた要因だと考えられます。
SDGsが国際圧力やお金の動きで流行っているということについては、「SDGsは胡散臭い?SDGsが嫌われる理由」に書いているので良ければそちらも参照ください。
SDGsウォッシュの語源
SDGsウォッシュの語源は「グリーンウォッシュ」だと言われていますが、この言葉も造語です。
大元を辿ると「ホワイトウォッシュ」が語源で、意味は「うわべを取り繕うこと」です。
グリーンウォッシュは、ホワイトウォッシュと、環境を意味する「グリーン」を掛け合わせて、「あたかも環境に良さそうに見せる」こととなり、SDGsウォッシュとも非常に関係の深い言葉です。
SDGsウォッシュの事例
SDGsウォッシュはさまざまな形で行われます。
そのパターンは、大きくわけると以下の3つです。
- 虚偽
- 誇張
- 隠蔽
ここでは上記3つについてそれぞれ見ていくことにします。
虚偽
まず、SDGsに取り組んでいないのに取り組んでいるようにアピールする「虚偽」についてです。
これはたとえば…
- 魚を乱獲しているのに、SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」に貢献していると説明
- 圧倒的に男性だらけの職場なのにSDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」に貢献していると説明
といった事例です。
ありえないでしょ。と思ってしまいますが、周りからのプレッシャーを受けてSDGsを掲げた場合に起こることがあります。
こういった虚偽が起こる原因として考えられるのは
- なんとなく関連ありそうな目標をリストアップしている
- 競合をとりあえずまねている
などが考えられます。
誇張
次は、SDGsウォッシュにありがちな「誇張」について。
誇張は、自分達の活動を実態以上に大きく見せようとすることを意味します。
本当はSDGsへの貢献度が低いのに、あたかもそれで全ての問題を解決できるかのようにふるまうことを指します。
たとえば、以下の例は、内容自体に誤りはないかもしれませんが、SDGsウォッシュだと言われるでしょう。
児童労働や人種差別についての説明会を実施したので、わが社にそういった問題はありません!(ただし、下請け業者の実態検証はしていない)
わが社は社員にSDGsのバッジを配布しているので、SDGsへの理解が進んだ企業です!(ただし、バッジを配っただけ)
これらは、施策の効果が不明瞭であるのに、あたかも効果があったかのように表現をしている点が問題です。
それから、事業規模とアピールしている内容が違う、というタイプの誇張もあります。
たとえば、トヨタのような従業員が数万人単位でいるような自動車メーカーが、SDGsへの取り組みの筆頭として「使わない部屋の消灯を徹底する」と掲げていたらどうでしょうか。
いやいや、もっとほかにやることあるでしょ。電気自動車の開発とかさ。
ってなりますよね?
これは、取組内容が事業規模や内容と釣り合ってないために不信感を抱かせてしまう典型例と言えます。
今の例はさすがに極端ですが、このようなアピールをしてしまっている企業は少なくありません。
こうした誇張が起こる原因は以下の点が考えられます。
- 効果の検証できないことを成果としている
- 取組内容と事業規模・内容がミスマッチしている
隠蔽
最後は「隠蔽」です。これも非常に起こりやすい事例です。
なぜなら、SDGsへの貢献として取り上げた内容が間違っていなくても、SDGsウォッシュと捉えられるからです。
隠蔽は、SDGsの達成の障害となっている事項を隠してしまうことです。
実際にあった事例では、みずほ銀行が、脱炭素を掲げる一方で石油火力発電事業や石炭採掘の依存度が高い企業への投融資をしているとして「SDGsウォッシュではないか」と非難を浴びたことがあります。
もちろん、事業をしていれば、SDGsに沿っていないこともしなくてはならない時期もあると思います。
たとえば、工場を稼働させることは電気を使うことであり、電気を使うことは環境問題につながりますが、だからといって工場の稼働をいきなりすべて止めることは現実的ではありません。
しかし、たとえSDGsの貢献に際し不都合な事実があっても隠す必要はなく、将来の見通しを示すことが大切です。
隠蔽が起こる原因は以下が考えられます。
- 過去の取り組みを脱却できないままSDGsを標榜している
- SDGsへの理解が足りていない
SDGsウォッシュ対策
SDGsのパターン虚偽・誇張・隠蔽を取り上げました。
それぞれの原因をまとめると以下となります。
- なんとなく関連ありそうな目標をリストアップしている
- 競合をとりあえずまねている
- 効果の検証できないことを成果としている
- 取組内容と事業規模・内容がミスマッチしている
- 過去の取り組みを脱却できないままSDGsを標榜している
- SDGsへの理解が足りていない
SDGsウォッシュにならないためには、上記の原因に陥らないように気をつけることが大切です。
しかし、上記原因の把握だけでは具体性が乏しいのは否めません。
そこで、電通がSDGsに関する広告企画立案での確認事項として挙げている4項目について取り上げたいと思います。
・その施策が、企業の規模や能力にふさわしい規模の施策であること
SDGsコミュニケーションガイド (dentsu.co.jp) より引用
・施策の成果が明確であること。途中経過や結果を一貫した指標で報告できること
・単発的ではなく持続可能な施策であること
・その施策を実施するにあたり「その企業ならでは」の必然性があること
SDGsウォッシュを防ぐ仕組み作りがわかりやすく解説されているので、自治体や企業の担当者にも役に立つと思います。
まとめ:SDGsは諸刃の剣
SDGsウォッシュについて事例を交えながら解説をしました。
今や企業の成長戦略にSDGsは欠かせないと言っても過言ではありません。
だからこそ、SDGsを間違って利用してしまうと企業や自治体のイメージを大きく損なう可能性も秘めています。
SDGsウォッシュにならないために、SDGsについての理解を深める勉強は、これからの時代に必須かもしれません。
SDGsについて書いた記事です!
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