「多様性を認めない多様性」はサステイナビリティがないと思う話

多様性やダイバーシティーという言葉が注目を集めるようになって久しいですが、一方でこんな意見もよく聞かれるようになりました。

 

多様性を重視するなら「多様性を認めない」という意見も尊重すべきだ!

この手の意見は、同性婚などの話で特に顕著にみられ、「ゲイを気持ち悪いと思う自由だってあるだろ」といった形で使われます。

私は基本的に多様性推進派なので、上記意見は悲しく感じます。

ですが、意見自体にある種の理屈は成立しているので、納得はせずとも反対はしないという立場でした。

しかし、先日読んだ「2030年の世界地図帳」の最後にある、著者の落合陽一さんとジャーナリストの池上彰さんとの対談を読んで、やはり「多様性を認めない多様性」を許容するわけにはいかないと自分の中で納得することができたので、そのことを書いていきたいと思います。

目次

結論

私は「多様性を認めない多様性」の尊重には反対の立場です。

その最大の理由は、「多様性を認めない多様性」はサステイナブル(持続可能)ではないからです。

言い換えれば、「多様性を認めない多様性」は将来世代に発生しうる多様性を傷つける可能性が高く、結果的に多様性を失うことになるという意味です。

たとえば、在日朝鮮人-韓国人のことを嫌いな人が、「朝鮮人は嫌いだ、日本からいなくなってほしい」と公言したとします。

こうした意見を、多様性を尊重するという観点から認めたとしたら、「バッシングを受けたくない」と考えた朝鮮人-韓国人が、自分の出自などを公表しなくなる可能性があります。

そうなると、朝鮮人-韓国人の存在が社会において顕在化されづらくなり、その先の議論が進まなくなります。

それはたとえば、在日朝鮮人-韓国人の子どもが日本の学校に通うなかで生まれる問題があるかもしれませんし、日本人と結婚するときの問題かもしれません。(未来のことなので予測は難しいです)

つまりここで言いたいのは、本当なら多様性がさらに広がるはずだったのに、「多様性を認めない多様性」によって邪魔されてしまういうことです。

たしかに、「多様性を認めない多様性」を認めることは、一時的に多様な意見を増やすことにつながるかもしれません。

しかし、その一時的な意見のために、将来の多様性を奪うことは許されることではないと私は考えています。

2030年の世界地図帳から

今回私が、「多様性を認めない多様性」への意見を考えるにあたって、参考にした書籍があります。

それは「2030年の世界地図帳」という本で、メディアアーティストの落合陽一さんがSDGsを中心にして将来の世界・日本を解説したものです。

本書後半に、ジャーナリストの池上彰さんとの対談があるのですが、そこではこのように述べられています。

落合:(略)「多様性を阻害する多様性」を振りかざす人たちが一定数いて、その人たちをどういうロジックで切り離すか。
(略)
池上:問題点としてよくわかります。多様性を阻害するということは、結果的に多様性も失われていくわけですよね。

「2030年の世界地図帳」より引用 省略、強調は河合のり太による

そして、たとえ話としてこんなことが述べられます。

池上:今、日本の森林では竹が爆発的に増えて問題になっています。(略)昔はちょっと地表に出てきたらすぐに切って、タケノコとして食べていたでしょ。でも、今はそれをしなくなったから、地下茎で伸びる竹が広葉樹林をどんどん侵食していきます。森が竹だらけになるとほかの植物は死に絶えてしまう。だからこそ手入れが必要です。竹という多様性はあってもいいんです。でも、増えすぎることで森が死んでしまうなら、コントロールする必要がある。

「2030年の世界地図帳」より引用 省略、強調は河合のり太による

このたとえ話が明快で、私は長年悩んでいたことがスッと腑に落ちた感覚を味わいました。

そうだ、多様性を失ってしまう可能性のあることを見過ごすわけにはいかないんだ、と。

本書「2030年の世界地図帳」は、これからの時代のテクノロジーや環境問題や社会システムなどを俯瞰して学ぶことができるのも魅力ですが、上記の話を含む、コラム的に挟まる対談が私にとって一番価値を感じました。

発行が2019年のため、新型コロナに関する記載がないのが少し残念ではありますが、それを差し引いても余りある充実した内容なので、興味がある人はぜひ読んでみてください。

まとめ

2010年代もそうであってように、おそらくこれからの10年も、多様性に関する議論が尽きることはないと思います。

先日も、夫婦別姓に関しての裁判がありましたし、都立高校の男女別定員もある意味では多様性の議論です。

そして、多様性の議論が持ち上がれば「多様性を認めない多様性」についての問題もでてくることでしょう。

これからの時代は、より一層この多様性にまつわる議論が過熱していくと考えられます。

私は、今回書いた内容が絶対的・普遍的に正しいことだとは思っていません。

ただ、自分の考えをまとめてみることは大事なことだと考えています。

今この時代に生きるひとりの人間として、どのような価値観をもって判断をしていくのか、考えてみる良いきっかけになれば幸いです。

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この記事を書いた人

毎日の生活をもっと楽しく、いきいきと過ごすために日々奮闘しています。取得資格はTOEIC925点、英検準1級、日商簿記2級など。趣味は読書とブログ執筆。当ブログ以外にも2つのサイトを運営しています。

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