困った顔をした白人を街で見かけたとします。
あなたは英語が話せます。さて、なんと話しかけますか。
Hello. Can I help you?
(こんにちは、何かお困りですか)
こんな風に声をかけましょう、と学校や英会話教室で習うかもしれません。
しかし、私は英語で話しかける方法に批判的な立場です。
もちろん、これが英語を公用語とする国で起きた出来事であれば、英語でよいと思います。
しかし、もしこのシチュエーションが日本で起きたものならば、「大丈夫ですか」といった日本語で話しかけるべきだと思います。
今回は、その理由について書いてみようと思います。
白人=外国人ではない
まず、とても大事な前提として、白人=外国人という図式が誤りであることを理解する必要があります。
たしかに現在、日本人の圧倒的多数は黄色人種だと思います。
しかし、肌の色と国籍は結び付けられるものではありません。
実際、日本国籍を有する条件は、以下に掲げられているものであって、肌の色は全く考慮されません。
1 出生(国籍法第2条)
法務省 国籍Q&Aより引用
(1 ) 出生の時に父又は母が日本国民であるとき
(2 ) 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であったとき
(3 ) 日本で生まれ,父母がともに不明のとき,又は無国籍のとき
2 届出(国籍法第3条,第17条)
届出による国籍の取得とは,一定の要件を満たす方が,法務大臣に対して届け出ることによって,日本国籍を取得するという制度です。
(1 ) 認知された子の国籍の取得
(2 ) 国籍の留保をしなかった方の国籍の再取得
(3 ) その他の場合の国籍の取得
3 帰化(国籍法第4条から第9条まで)
帰化とは,日本国籍の取得を希望する外国人からの意思表示に対して,法務大臣の許可によって,日本の国籍を与える制度です。
つまり、白人の日本人というのは当然ありえる話なわけです。
んー、でも、そうは言っても白人が外国人である確率は高いんだから、英語で話しかけてもいいんじゃないの?
こう考えた人は要注意です。
本質的に関係のない2つの属性(この場合は肌の色と国籍)を結び付けるというのは差別行為の一種だからです。
暗に「あなたの見た目は日本人とは思えません」と伝えているようなものですからね。
ではどうすればいいのか。
白人であろうがなかろうが、同じように話しかければいい、というのが私の答えです。
「大丈夫ですか」や「何かお困りですか」と話しかければいいんです。
その結果として、相手が英語によるコミュニケーションを望めば、そのときはじめて英語を使うのが良いと思います。
外国人だから英語ができるという幻想
この話には、もうひとつ付け加えるべきポイントがあります。
それは、外国人=英語ができるという幻想についてです。
英語は確かに多くの国で使われていますが、すべての人が聞いたり話したりできるわけではありません。
日本にいると外国語=英語、という印象が強いからか、英語で話すことを意識しすぎてるような気がします。
英語を使うことのできない人かもしれないのに、わざわざこちらから英語で話しかける必要があると思いますか。
そこが日本であるならば、日本の公用語である日本語で話しかけるのが一番自然な方法だと私は思うのです。
まとめ
私は、仕事で使う関係もあって、そこそこ英語ができるほうだと思います。
しかし、コミュニケーションで一番大切なのは、言語能力そのものではなく、相手への配慮だと感じています。
英語がペラペラだけど、中身もペラペラ。そんな人にならないように、気を付けたいものです。
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