SDGsブロガーの小田勝宣です!当ブログで非常に人気の高い「自治体のSDGs取り組み解説シリーズ」から、今回は福岡県北九州市を紹介したいと思います。
「SDGs(持続可能な開発目標)」の具体的な活動を調べたい人のヒントになるのが、企業や自治体の取り組みです。
しかし、「企業名や自治体名+SDGs」で検索して出てくる情報は、わかりづらい情報ばかりです。
企業や自治体のSDGs取り組みがわかりづらい理由は、自分たちの活動を網羅的に記載してしまい、焦点がぼやけてしまっているから。
そこで当ブログでは、さまざまなSDGsの取り組みを調べてきた私が、「これはユニークだ!」と感じた取り組みだけに絞って紹介をします。
この記事で取り上げる以外の取り組みを知りたい場合には以下に記載するサイトを参照してみてください。
本記事の参考サイト:北九州市ホームページ
北九州市とSDGs~自治体SDGsモデル事業~
北九州市は内閣府の推進する「自治体SDGsモデル事業」として選出されています。
「自治体SDGsモデル事業」は1年に10事業までしか採択されないうえ、当事業が開始された2018年に採択されているという点で、北九州市が非常に注目度の高い都市だということがわかります。
【自治体SDGsモデル事業】
地方創生SDGs HPより
SDGs未来都市の中で、先導的な取組として選定されているものです。地方公共団体によるSDGsの基本的・総合的取組の中でも特に注力的に実施する事業であり、SDGsの理念に沿った統合的取組により、経済・社会・環境の三側面における新しい価値創出を通して持続可能な開発を実現するポテンシャルが高い先導的な取組であって、多様なステークホルダーとの連携を通し、地域における自律的好循環が見込める事業です。
SDGsの取り組みについて北九州市が注目を集めているのは、以下3つの点がユニークだからだと私は感じました。
- 北九州イクボス同盟
- 次世代エネルギービジネス
- 国際協力からビジネスへの展開
これらの取り組みがどういったものなのか、SDGsとどう結びつくのかを紹介していきます。
SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」
まず私が注目した取り組みは「北九州イクボス同盟」です。
名前だけ聞くとイクメン的な感じで育児をする人を推進する活動かと感じますが、実は「部下や社会、そして組織を育てる上司(ボス)」を指す言葉だそうです。
この「北九州イクボス同盟」の画期的な点は、ワークライフバランスの充実にターゲットを絞っているところです。
昨今の企業や自治体では、女性の活躍推進や男性の育児休業の取得について、個別に目標を立てているところも少なくないと思います。
そうした個別の目標が悪いとは言いませんが、企業ひとつひとつ、働く人ひとりひとり、事情は違うはず。
「北九州イクボス同盟」では、問題解決のカギを、部下や組織の「ワークライフバランスの充実」をマネジメントできるボスの存在だとしています。
育児休業が最たる例ですが、日本において「制度を作る」というのは根本的な解決にならないことが多いです。
なぜなら、制度があっても使わない(使えない)人がたくさんいるからです。
その大きな原因になっているのは社内の雰囲気であることが多いと思います。
たしかに、制度があっても誰も使ってなかったら言い出しづらいかも…
そう考えれば、上司のマネジメントの力(イクボス)が日本社会に今、必要とされているのかもしれません。
SDGs目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
北九州市のSDGsに関する取り組みで先進的なのは「次世代エネルギービジネス」です。
響灘(ひびきなだ)地区の広大な埋立地を利用し、風力発電やメガソーラー、バイオマス発電など「多様な再生可能エネルギー」の総合供給拠点を構築。電力の発電だけでなく、全国の自治体の手本としての情報発信も行っています。
また、2015年には低炭素エネルギーの地産地消をコンセプトにした地域エネルギー会社を設立しました。
このエネルギー会社「北九州パワー」では、地域で発生したゴミの焼却熱を利用した発電を行っており、まさに地産地消のエネルギーといえます。
これら再生可能エネルギーやエコなまちづくりの推進は画期的な取り組みとして認知され、2016年にはG7エネルギー大臣会合の開催都市に選ばれます。
SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」
北九州市の取り組みで目を引いたのは「国際的なパートナーシップの多さ」です。
工業都市だった北九州はかつて、深刻な公害に悩まされていたのですが、それを「産・官・学・民」の連携で解決してきました。
公害を乗り越えた経験をノウハウとしてまとめ、アジアの都市を中心に提供してきたのが北九州市です。
こうした取り組みを経て、北九州市は国際的なパートナーシップをより深化させています。
北九州の国際連携で代表的なのが「プノンペンの奇跡」と呼ばれる上下水道の改革事業です。
プノンペンというのはカンボジアの都市の名前で、日本のODA(政府開発援助)により水道を整備していました。
当時のODAは、お金の提供に留まり、ノウハウが伝達されないという弱点があったのですが、北九州市はJICA(国際協力機構)に専門家として職員を派遣し、ノウハウを惜しみなく伝授しました。
結果、プノンペンは蛇口から直接飲めるほどの水質を確保し、漏水率を先進国並みにすることに成功。
プノンペン水道公社はアジアのノーベル賞と呼ばれる「マグサイサイ賞」を受賞することができました。
北九州市はこの経験を活かし、互いに得をする(Win-Win)関係を築くことを前提にしたパートナーシップを推進しています。
まとめ
今回は、福岡県北九州市のSDGsに貢献する取り組みの中から、私が「面白い!」と感じたものを3つ取り上げました。
- 北九州イクボス同盟
- 次世代エネルギービジネス
- 国際協力からビジネスへの展開
北九州市の場合は、公害という経験を活かし、それを国内あるいは世界に向けてきちんと発信している点が高い評価を受けている要因だと思います。
当ブログ「のりログ」では、自治体のSDGsについて詳しく解説した記事がたくさんあるので、気になる方はぜひ他の記事も読んでみてくださいね。
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