SDGsには17もの目標が設定されていて、大手企業だと「SDGs17個の目標全てに取り組んでいます!」と宣言しているとことも少なくありません。
今回取り上げる航空業界の大手2社(JAL・ANA)も、SDGsに全体的に取り組んでいる企業です。
なのでこの記事では、JALとANAの両社が共に重視していると思われるSDGsへの取り組みを取り上げて比較をすることにしました。
参考にしたのは、両社が掲げる「経営上の重要課題」です。どちらも4つの視点で捉えています。
見比べてみると、両社の経営課題はとてもよく似ているということがわかると思います。
特に「環境」と「地域」は両者にとって欠かすことのできないワードだと推測できます。
そこで「環境」「地域」に関連する以下のSDGsを取り上げて詳しく見ていくことにします。
- (環境)→目標13「気候変動に具体的な対策を」
- (地域)→目標11「住み続けられるまちづくりを」
目標13「気候変動に具体的な対策を」
航空業界にとって、環境問題はとても大きく悩ましい問題です。
スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんは2019年にニューヨークで開かれた国連気候行動サミットに、飛行機ではなくヨットで大西洋を渡って参加しました。
理由は、飛行機は多くの温室効果ガスを排出するから。
実際、移動距離あたりの二酸化炭素排出量は「国内線フライト」が一番多く、続いて「自家用車(ガソリン)」「自家用車(ディーゼル)」、そして「国際線フライト」となっており、飛行機が環境に与えるインパクトはとても大きいことがわかります。
このように喫緊かつ重要な「環境問題」について、JALとANAの各社は大きく以下の取り組みをしています。
- 省燃費機材の使用
- 新燃料の開発促進
- 運航オペレーションの改善
- カーボンオフセット
また、カーボンオフセットというのは非常に面白い取り組みで、どうしても排出せざるを得ない温室効果ガスの発生分を、その排出量に見合った削減活動に充てることで埋め合わせるというものです。
つまり、環境には気を使いたいけど、飛行機に乗らないわけにはいかないという人のために、自分が飛行機に乗ることによって排出されるCO2分を削減するために必要なお金を支払うことで、排出量を実質ゼロにしようというわけです。
環境対策に関する大きな柱は両社とも同じなので、その中でも私がユニークだと感じた取り組みをピックアップしていきます!
JALの環境問題に対するユニークな取り組み
JALの環境に対する取り組みの中でユニークなものとして「10万着で飛ばそう!JALバイオジェット燃料フライト」というプロジェクトがあります。
これは、古着などの衣料品を回収し、使われている綿を原料として国産バイオジェット燃料の製造に挑戦するという取り組みです。
JALはこのプロジェクトを開始した2018年に約25万着の古着を集め、2020年3月に無事に燃料として完成させました。
これが国内ではじめてのバイオジェット燃料の完成だったそうです。
バイオジェット燃料とは、微細藻類や木質系セルロース(木材チップ、製材廃材や林地残渣)、などといったバイオマス原料をもとに製造される航空燃料をいいます。(中略)
経済産業省資源エネルギー庁HP より引用
CO2排出量削減の対策方法には航空経路の改善、航空機の機体軽量化等の改善が考えられますが、特に再生可能代替航空燃料の活用が注目されています。
バイオジェット燃料は新たな化石燃料を採掘する必要がないので、環境負荷を下げることのできる燃料として今後も期待されます!
ANAの環境問題に対するユニークな取り組み
ANAに関してはiPadの活用がユニークな取り組みだと感じました。
まず、パイロットや客室乗務員のマニュアルを電子化し、iPadで閲覧できるようにしたことで重量を70%近く減らす(紙2.1kg→iPad0.7kg)ことに成功しました。
とはいえこれだけでは大したインパクトではありません。
ANAの取り組みでユニークなのは、iPadを使って飛行計画の修正・再作成の共有も行っているところ。
つまり、iPadの導入が一度で二度おいしい仕組みになっているというわけです。
ITを駆使して問題解決に取り組む姿勢は、これからますます重要になっていくので今後も注目です!
目標11「住み続けられるまちづくりを」
飛行機というのは都市と都市をつなぐ乗り物です。
ビジネス目的であれ、観光目的であれ、都市があるからこそ飛行機が必要とされるわけであって、航空会社にとっても「まちづくり」は大事な視点です。
特に日本各地の魅力を発信するプロジェクトにはJAL・ANA両社とも注力しています。
しかしここでは、さらに一歩進んだ独特な取り組みについてJAL・ANAそれぞれ見ていきましょう。
JALのまちづくりに関するユニークな取り組み
JALは地方創生活動の一環として「JALふるさとアンバサダー」という制度を創設しました。
JALふるさとアンバサダーは、社内公募で選ばれた客室乗務員が自身の故郷やゆかりのある地域に移住し、地域コンテンツの創出や商品開発を手掛けるという取り組みです。
たとえばJALとJR北海道の共同企画「ひとつの列車で、ひとめぐり。北海道」では、北海道出身のJALふるさとアンバサダーが(飛行機ではなく)列車内でおもてなしをします。
航空会社は飛行機を飛ばすことだけを考えればいい、そんな時代に終わりを告げ、新しい時代に挑戦する姿勢がうかがえる良い取り組みだと感じました!
ANAのまちづくりに関するユニークな取り組み
突然ですが、avatarin(アバターイン)という会社を聞いたことがあるでしょうか。
ANAホールディングスのアバター準備室を経て設立された会社なのですが、この企業が破壊的イノベーションを起こすかもしれません。
avatarinは、Avatar robotというロボットを使って、実際に移動をすることなくさまざまな体験ができるようにするという超未来的な取り組みをしている企業です。
つまり、家にいながら旅行ができるようになるというわけです。景色を見たり会話を楽しんだり買い物をしたりといったように。
もちろん今はまだ味覚や嗅覚、触覚といった実際の感覚まで共有することはできませんが、それも時間の問題かもしれません。
この技術が発展すれば飛行機の必要性は大きく下がるかもしれないのに、それでもよりよい社会のために投資をするANAには感服します。
まとめ
今回は航空業界の大手2社であるJAL(日本航空)とANA(全日本空輸)のSDGsに対する取り組みを比較してみました。
日本を代表する企業のため、この記事で取り上げた活用は全体のほんの一部に過ぎませんが、各社のユニークな取り組みについて少しでも知っていただけたなら幸いです。
本ブログ「のりログ」ではSDGsについて個人・企業・自治体などに分類して取り組みを紹介しているので、SDGsに興味がある人はぜひほかの記事も読んでみてください。
SDGsについて書いた記事です!
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