タオルといえば「今治タオル」。そう思い浮かべる人は多いと思います。
わが家でもハンドタオルやフェイスタオルは今治タオルを使っていて、その使い心地の良さは群を抜いていると思います。
今回はそんな今治タオルについて、今治タオルというブランドを作り上げた「今治タオル工業組合」のSDGsへの取り組みについて調べてみたのでご紹介したいと思います。
地道に継続している取り組みがたくさんあるので注目です!
今治タオル工業組合の取り組みをSDGsに対応させてみた!
今治タオル工業組合は、ホームページ上で取り組み内容を詳細に紹介しています。
どの取り組みも素晴らしいものですが、今回はSDGsに関連しているもので、今治タオル工業組合らしいものをピックアップしてご紹介したいと思います。
SDGs目標8「働きがいも経済成長も」
まず私が注目したのは従業員の労働環境に気を配りつつタオル業界の発展を目指している姿勢です。
労働環境という観点では、子育て支援制度(15歳までの子どもがいる女性従業員に月10,000円を支給)や、家事代行支援制度(家事・育児・高齢者ケアサポートを優待料金で利用できる)といった制度で、従業員のワークライフバランスの向上を図っています。
また、タオル業界の将来を見据えての活動としては、今治タオル工業組合社内検定がユニークな取り組みです。
これは、今治タオルの高い品質を維持するために、製織(タオル織機を用いてタオル生地にする)や整経(経糸をビームに揃えて巻き付ける)の技能を持つ人を評価するための検定です。
職務経験が2年以上の2級、7年以上の1級、そして職務経験20年以上の製造者を対象にした「タオルマイスター制度」というものもあります。
各メーカーで人事育成や人事考課の指標としても利用されていて、持続可能な技術伝承ができる仕組みはまさにSDGs目標8「働きがいも経済成長も」に合致するものと言えます。
SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」
続いて私が注目したのは、環境問題への取り組みです。
大きな活動として挙げられるのは「今治タオルと水の森」活動で、今治市と協同でプロとボランティアによる森林整備を行っています。
質の良いタオルの生産には豊かな水が必須だそうで、その豊かな水を育むために森林の整備に力を入れているのは納得です。
「今治タオルと水の森」活動は、CO2の削減に協力したとして愛媛県からCO2吸収認定も受けており、注目が集まっています。
もうひとつ注目したい取り組みは、オフィシャルショッピングバッグを紙製にしたというものです。
この紙袋は1枚20円で販売されるのですが、その売上の一部はWWFジャパン(公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン)へ寄付するという仕組みになっています。
ただビニール袋の使用をやめただけではなく、紙袋への変更をきっかけに、より環境に配慮した取り組みにした点がとても好印象です。
SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」
最後に注目したのは、各種団体との連携です。
先に挙げたように、今治市と協同した「今治タオルと水の森」やWWFジャパンへの寄付も該当しますが、それだけにとどまりません。
1996年から毎年開催されている「小中学生タオルデザイン展」は、小中学生を対象にタオル産業の理解を深めて将来へつなぐことを目的としています。
地元振興という観点では、サッカーチームFC今治のスポンサーシップをしている点も見逃せません。
一番注目したいのは、寄付活動です。
日本ユニセフ協会に対しては2007年10月から2020年4月までで累計3,700万円を寄付し、発展途上国の子どもを支援しています。これはSDGs目標1「貧困をなくそう」や目標2「飢餓をゼロ」にも大きく影響します。
また、日本で災害が起こった際にも義援金や物資の提供を行っています。
たとえば…
- 2011年~2015年:東日本大震災義援金 計9,500,000円
- 2016年4月:熊本地震物資提供 タオル1,000枚
- 2018年7月:西日本豪雨物資提供 タオル12,000枚
- 2019年10月:台風19号物資提供 タオル10,000枚
なお、「日本TCGF」と「東京都」との災害時における物資支援協定によると、発災から4日目以降に必要な物資としてタオルが挙げられていて、非常に貢献度の高い活動だと考えられます。
災害時のタオル提供は、今治タオル工業組合ならではの取り組みといえます!
今治タオルというブランド
タオルといえば「今治タオル」。この記事の冒頭で私はそう書きました。
実際、2014年の認知度調査では76.9%の人がブランドを認知していたというデータがあります。
しかし実は、その10年前、2004年のブランド認知度は36.6%だったそうです。
ブランド認知度急上昇のきっかけとなったのは、2006年。
日本屈指のクリエイティブディレクター、佐藤可士和さんによるリブランディング(ブランドの再構築)が奏功したのです。
今治タオルのコンセプトメッセージを「安心・安全・高品質」なタオルとし、基準を満たした今治産のタオルにおなじみのブランドマークをつけて販売することで、一気に知名度を上げることに成功しました。
リブランディング戦略が良かったのは間違いありません。
しかし、今治タオルがもともと「安心・安全・高品質」なタオルであったから成功したのも間違いありません。
そして、その「安心・安全・高品質」を昔から支えていたのは、今治タオル工業組合が強い信念をもって、消費者に、従業員に、社会に価値を還元していたからです。
SDGsの達成には、個人が、企業が、国や社会が、それぞれの強みを発揮する必要があります。
そういう意味で、今治タオル工業組合の取り組みは、SDGsの取り組みの模範となるものだと思います。
SDGsについて書いた記事です!
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