私は最近、ラベルレスボトルの炭酸水を飲むようにしています。
そのことについての記事を書いたのですが、その記事で取り上げたコカ・コーラ社以外でもSDGsの取り組みが盛んだということがわかりました。
そこで、大手飲料メーカー6社のSDGsへの取り組みについて調べることにしてみました。
大手メーカーの動きがわかれば業界全体の今後の動向がわかると考えたからです。
調べて気付いたのは以下の3点です。
- 各社ともSDGsの取り組みに力を入れている
- そうでありながら、画一的な取り組みではなくオリジナリティーがある
- もし各社が強みを発揮して目標を達成したら、SDGsの達成も急速に近づく
結論から言えば、飲料業界はSDGsに対しての意識が高いと言えると思います。
また、飲料業界とSDGsの関連というと、ペットボトルなどの環境問題が思い浮かびますが、環境問題以外の取り組みも多数ありました。
そこで、各社の取り組みについて、私が面白いと感じたこと・考えたことを書いていこうと思います。
あくまで私の独断と偏見でまとめたものなので、全体像などをしっかり把握したい方は、それぞれの参考サイト、資料(リンクを貼っています)を参照してください。
とはいえ、「独自の視点で考える」という行為は、自由研究やレポート課題、就職活動にも活かせるものだと考えています。
したがって、SDGsに対する考え方の一例として、お読みいただければ幸いです。
アサヒ飲料とSDGs
- 目標を「つなげる」姿勢
アサヒ飲料のSDGsに関する取り組みで特徴的なのは、「健康」「環境」「地域共創」の3つのマテリアリティ(重要課題)を設定し、目標を組み合わせる(つなげる)ことに注力している点です。
たとえば、「健康」×「地域共創」の事例として、健康を語る伝道師『乳酸菌マスター』制度を創設し、『乳酸菌マスター』が地域コミュニティーで勉強会を開催しているというものがあります。
この取り組みは、さまざまな世代の交流を促し健康を促進するため、SDGsの目標3「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」及び目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」に該当すると考えられます。
この「つなげる」という発想は、SDGsでは非常に大切な考え方です。
というのも、SDGsは1つの目標が他の目標に影響しているということが頻繁に起こるからです。
環境問題を解決しようと経済を犠牲にしたら、貧困問題の解決が遠のいてしまうかもしれない。
私たちの住んでいる世界は、何か1つの目標で達成できるものではないのです。
さまざまな問題を俯瞰し「つなげる」アサヒ飲料の取り組みは、SDGsに取り組む姿勢として素晴らしいと思います!
参考サイト
https://www.asahiinryo.co.jp/csv/topmessage/
https://www.asahiinryo.co.jp/csv/feature/
伊藤園とSDGs
- 健康問題への取り組み
『お~いお茶』で有名な伊藤園は、健康機能性に特に注力している印象です。
平均寿命が長い国として知られる日本ですが、これからの時代は健康寿命(健康で過ごせる期間)を長くすることが大切だと言われています。
伊藤園は、この健康寿命を延ばすために、消費者の「健康」「安心」「安全」指向に応える商品づくりをしています。
具体的には、以下の2つが特徴的だと感じました。
- 原料・製品の品質管理
- 健康配慮型商品の追求
一つ目の品質管理は、たとえば茶葉の生産について茶農家と契約をして自社商品の品質を担保し、茶農家に対して経済安定性を保証するなどの取り組みです。
これはSDGsの目標8「働きがいも経済成長も」に該当すると考えられます。
「お~いお茶」に代表される、シンプルなお茶を多数販売している伊藤園だからこその取り組みと言えるでしょう。
二つ目の健康配慮型商品の追求は、機能性表示食品やトクホ商品の開発です。
これは直接的に健康に寄与するものであり、SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」に該当すると考えられます。
SDGsと聞くと何かと環境問題を考えがちですが、伊藤園は健康軸で商品価値を高めることでSDGsに貢献していこうという気持ちが感じられました!
参考サイト
https://www.itoen.co.jp/csr/top_message/
キリンとSDGs
- スリランカの紅茶農園の認証取得支援
キリンはSDGsの取り組みに関しては、日本有数の企業です。
2020年11月に開催された「第2回日経SDGs経営大賞」では、「環境価値賞」を受賞しています。
自社サイトの力の入れ具合からわかるように、SDGsに対して網羅的でありながら、強みを活かした取り組みを実践しています。
私が特に面白いと思ったのは、スリランカの紅茶農園が国際的な認証を取得するための支援をキリンがしているというものです。
これは、「環境保全」「社会的公正」「経済的競争力」の全てにおいて、将来にわたっても持続的に運営していけることを保証する「レインフォレスト・アライアンス認証」の取得を応援するというものです。
環境問題だけでなく、貧困問題や労働問題にもアプローチするこの活動は、SDGsの目標1「貧困をなくそう」目標8「働きがいも経済成長も」目標12「つくる責任 つかう責任」を横断的に達成することを目指しており、貢献度が高いと思います。
あの『午後の紅茶』に、世界の貧困や労働問題を解決する糸口があるのだと思うと、応援したくなりますね。
参考サイト
https://www.kirin.co.jp/csv/eco/mission/
コカ・コーラとSDGs
- 容器のリサイクル
コカ・コーラ社で特筆すべき点は、持続可能な容器の開発・普及への取り組みです。
すでに『コカ・コーラ』『い・ろ・は・す』『ジョージア』といった商品で、100%リサイクルPETボトルを使用しているようです。
この導入により、年間約35,000トンのCO2排出量を削減見込みだそうです。
また、リサイクルだけでなく、PETボトルの原材料の見直しも進めています。
2030年には、100%サステイナブル素材に切り替えることを目標としており、達成されれば環境問題への貢献は絶大なものだと思います。
こうした活動は、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」に該当すると考えられます。
世界で最も有名な飲料(コカ・コーラ)を販売する企業だけに、SDGsへの取り組みによって生み出される波及効果に期待したいです!
参考サイト
https://www.ccbji.co.jp/csv/materiality/
https://www.cocacola.co.jp/press-center/news-20210513-10
サントリーとSDGs
- 「水」を中心とした活動
サントリーといえば、お馴染みのフレーズ「水と生きる SUNTORY」が有名だと思います。
このフレーズはSDGsの取り組みにもよく表れています。
サントリーが最重要課題と挙げたSDGsは目標6「安全な水とトイレを世界中に」です。
実際、2017年には「水理念」を制定し、以下4つの観点を大切にしているようです。
- 水循環を知る
- 大切に使う
- 水源を守る
- 地域社会と共に取組む
このステップがSDGsの視点においても非常に大切だと私は思いました。
私がSDGsに取り組むうえで大切だと思っているのは以下の流れです。
まず知ること、そして自分が実践すること、最後にその取り組みを広めることです。
サントリーの「水理念」と近いステップだと思いませんか。
サントリーでは、水についての啓蒙活動をたくさんしています。
一番活発なのは3月22日「世界水の日」で、国内外世代の対象を問わず水の大切さについて発信をしています。
ブランドイメージと活動がマッチした取り組みである点が好印象です!
参考サイト
https://www.suntory.co.jp/company/csr/themes/water/
ヤクルトとSDGs
- ヤクルトレディと働きやすさ
ヤクルトと聞いて思いつくのは「ヤクルトレディ」ではないでしょうか。
小さいころは我が家でも、ヤクルトレディからヤクルトや飲むヨーグルトを毎週購入してたなぁ。
ヤクルト社は、このヤクルトレディの取り組みを前面に押し出す形でSDGsの推進を標榜しています。
ヤクルトレディは、ヤクルト社の商品を訪問販売する販売員で、日本だけでなく、中国やインドネシア、ブラジルでも活躍しているそうです。
女性が多く活躍しており、女性の地位向上という観点で大きな貢献をしています。
また、従業員に対し、SDGsの目標の中から、自分と関わりが深いものを選択し、自分にできる行動を『My「SDGs」行動宣言』として定めることでSDGsの周知を行っているのもユニークな取り組みです。
これらの取り組みはSDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」や目標8「働きがいも経済成長も」に繋がるもので、飲料メーカーとしては珍しいものだと感じました。
実際に、こうした取り組みが評価され、第2回「ジャパンSDGsアワード」にて特別賞「SDGsパートナーシップ賞」を受賞したそうです。
自分らしく働ける職場を作ることもSDGsに貢献できるという良い見本だと思います!
参考サイト
https://www.yakult.co.jp/csr/basic/sdgs.html
まとめと提案
私なりに飲料メーカー大手6社のSDGsに対する取り組みについて気づいたことは、冒頭にもあるとおり、以下の3点です。
- 各社ともSDGsの取り組みに力を入れている
- そうでありながら、画一的な取り組みではなくオリジナリティーがある
- もし各社が強みを発揮して目標を達成したら、SDGsの達成も急速に近づく
また、この気づきを踏まえたうえで、私が各社に期待したいのは以下の2点です。
- 各メーカーで知見を共有する
- 他の業界とのコラボレーション
まず、SDGsに貢献する取り組みを企業を超えて共有できれば、さらに取り組みが加速するのではないかと考えました。
競合メーカーであるため、そう簡単なことではないかもしれません。
けれど、同じ業界の仲間でもあるはずで、業界全体を盛り上げるためにも、協同を期待したいです。
そして、他の業界とのコラボレーションも期待したいです。
たとえば、マイボトルを持参すれば飲料を補充してくれるシステムを構築するといった取り組みは、既存の販売ルートとは違う企業とのコラボになるはずです。(素人考えなので実現可能性は無視しています)
飲料メーカー各社のSDGsに対する取り組みがもっと活発になることを期待しています!
SDGsについて書いた記事です!
コメント